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Romance夢紀行

Romance夢紀行

WARCRY エリザベス・ヴォーン あらすじ

2020.10.14 更新

定住民と遊牧民の文化の軋轢、権力争い、怪我や疫病との戦い、ロマンスが熱いファンタジー。Chronicles of the Warlandsというシリーズ名がついているようです。1作目から夢中になって、2巻、3巻は翻訳が待てずに原書で読んだのですが、びっくりするほど早く翻訳されたのでした。3巻でキアとララのロマンスは一段落しましたが、原書のほうではスポットライトがまわりの魅力的な人物たちへと移っていて、続きがあと3作出ています。すごーく好きな世界観だったので続きを読んでみました。
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Warcry【電子書籍】[ Elizabeth Vaughan ]

Chronicles of the Warlands シリーズ
1巻 ​【中古】 空色の瞳の異邦人 ヴィレッジブックス/エリザベスヴォーン
2巻 ​​【中古】銀色の草原の約束 / エリザベス・ヴォーン
3巻 ​瑠璃色の衣の花嫁 /ヴィレッジブックス/エリザベス・ヴォ-ン / ヴィレッジブックス【中古】afb
4巻 warcry  ←いまここ
5巻 wardance
6巻 warsong

※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 

「瑠璃色の衣の花嫁」のラストではララとキアたちが平原で厳しい冬を迎えるところで終わっていました。それから数か月後、すっかりお腹の大きくなったララとキアとその一行は出産のためにザイに向かっています。ララに随行しているヒースの視線はアティラへと何度も向かいますが、周囲に冷やかされたアティラは真っ赤になりつつ、迷惑顔です。評議会からアサーが倒れたという使者がやってきます。何か変だという引っ掛かりを覚えて、ヒースが状況の確認のためアティラと一足先にウォターフォールズに戻ります。

ウォーターフォールズでは、キアにウォープライズへの暴言の無礼討ちとして切り捨てられて命を取り留められたダースト卿と僧侶、ララたちへの使者にたった青年貴族の3人が陰謀を張り巡らしているようです。

ヒースたちは信用できる人物から情報を得て、城の警備体制が変えられていること、主力兵が数日前に何かのもめごとが起こったということで騒動を収めに城を出てしまっていることなどを聞き、密かに城に忍び込みます。

アサーを訪ねるとエルンが付き添っていましたが、仮病でした。宮廷で住民の不満や争議を聞き取り解決をする裁判の場に、突然結婚式のもめごとが持ち込まれたと。街の住民が6歳ほどの年の差のあるお見合い結婚式を挙げようとしたところ、幼い花嫁が結婚したくないと偶然行きあったプレインズの女戦士に懇願し、女戦士たちは幼い女性が強制的に結婚させられる状況に激昂し、彼女をさらって結婚式はめちゃくちゃになってしまったようです。花婿側も契約通りに結婚式を挙げさせろと花嫁を追いかけてきて、騒ぎが場内に持ち込まれ、進退窮したアサーは急病を装ったということのようです。

街に戻ってきたララはすぐさま二つの文化の違いの落としどころの結論を迫られることになるということと、ララが妊娠したという情報が入ってきてから城内に妙な緊張感が漂っていることを伝えてほしいとアサーはヒースに言います。

城を抜け出した二人は人目につかない道端で野宿し、夜明けを待つことにしますが、ヒースはアティラの願いに負けて熱い夜を過ごすことになります。

ヒースはアティラとずっと一緒にいたいと考えていて、ただ熱い関係を楽しむだけでは足りないと言いますが、自分の気持ちとアティラの熱意に押し切られてしまった形でした。ララたちの宿営地に戻ると状況を報告し、警戒を強めて帰還することになります。

街へ戻ってくると、女王の帰還を祝って街をあげて歓声が沸き上がりました。ララは街にはいるとかぶっていたマントを地面におとし、キアに忠誠を誓ったときの薄手の衣姿になり、素足で城まで行進をはじめます。城からは迎えもやってきますが、ララはマーカスたちを連れて行ってほしいと指示し、キアや護衛達と共に進みます。途中の広場で、ヒースに情報をくれた城の護衛兵のデブリスがおとなしそうなロバと待機していました。ロバには車がつながれ、その上にはリボンと花で飾られた座席が用意されていました。キアがララを抱き上げ椅子に座らせ、数百年前のザイソン王の凱旋時にも劣らないだろう大歓声をうけながらゆっくりと城へ向かいます。

ヒースが先導し、王座の間にはいったララとキアは用意されていた王座に着席し、貴族たちの挨拶を受けます。ララからは、不在の間、よく城を守ってくれましたというねぎらいと、判断を待つ決議事項は数日以内に判断するが、アサーが急病で自分も出産を控えているため、待ったなしの国事に対応するため、アサーの息子ヒースを臨時の執事とするという命令を出し、居室に下がります。急に指示されたヒースは一瞬動揺しますが、すぐに兵士たちに指示を出し、城の警備を固めます。アティラはケルの指示で幼い花嫁を保護している女戦士に会いに行きます。

アサーの助言を聞こうと居室に向かう途中、ヒースは突然覆面をかぶった3人の男に切りかかられます。負傷したものの、「暗殺者だ!」というヒースの叫びを聞きつけたアティラが駆けつけてきて一人に切りつけ、退散していきました。警備兵たちに追跡を命じて、アサーの居室に着くとレイフたちが入口で警備しています。ララとケル、そしてエルンとアンナと赤ん坊が部屋に集まっていました。

エルンがヒースの治療をしてくれ、ヒースは状況を報告します。ヒースは個人的な攻撃と考えたようですが、アティラはプレインズの民かもしれないと話します。ケルはそれは我らの流儀ではないと言いますが、別の流儀を学ぶこともありますと、可能性を排除しないほうがいいと提言しました。

また帰国したケルが疫病による死者が多数出た責任をとらされ長老たちに将軍位をはく奪されたニュースが城にいた戦士たちにも届いていたようで、ケルに従っていたことで失敗したと考えているものたちは動揺しているという話もしていました。

ララはこの部屋にはわたしの家族が集まっているから最後にひとつだけ話し合っておかなければいけないことがあると切り出します。ケル、私は出産の経過も順調で健康だし、エルンもついていてくれるけれど、何が起こらないとはいいきれない。あなたは以前私が死んだら自分を後を追って雪原に行くと話していたけれど、万が一のことがあっても私たちの子供を育てると約束してほしい、と頼みます。ケルは子供が大人になるまで育てると約束します。そして他のみんなも子育てに協力することを申し出ます。

緊迫した状況からヒースはそれぞれに警備を数人ずつ割り当てることにしますが、ヒース自身はどうするのだといわれると、アティラが彼は私のものです、と宣言します。口に出した途端、アティラは言い過ぎたと赤面してしまいますが、将軍にお許しいただけるのであれば、と許可を願い出て、了承されます。


ヒースが自室に戻るとアティラも来ていました。部屋は父からの特別扱いを嫌ったヒースがあえて狭いところを選んだため小さめで、突然の平原への出立前とほとんど変わらない様子でしたが、母のアンナが衣類を全部洗いなおしたり気を配ってくれていたのではと感じます。

ヒースの肩が凝っていることに気が付いたアティラはマッサージしてあげます。眠れないヒースはアティラを連れて窓から屋根へ抜け出し、厨房の上の屋上で寝袋に寝っ転がり空を眺めることにします。絆を結ばないなら情をかわすのは一度だけ、という約束をアティラにさせたヒースでしたが、そばにいると気持ちが抑えられません。君は僕の心の鼓動だ、これからの人生ずっと一緒にいてほしいと頼みますが、アティラはどうして絆を結ぶ必要があるの、二人の関係を楽しめば十分じゃないの?と並行線です。強引にヒースを誘惑します。

翌朝ララは貴族たちを招集し、ケルは別の場所で戦士たちとセネルを開きます。ララは出産後の子供が双子だったらどうするのか、また跡継ぎについての文書の文言など細かい点を話し合い、夜は大宴会を開き、翌日裁判を開きましょうと言っていました。

ケルはエロイスという花嫁をかくまっている女戦士の真実の話を聞きます。勝手の違うこの街で誓約を守るために頑張ってきたけれど、仕える将軍のいない来年の春を心配していると話すと、ケルはこの街においてはワープライズが主眼で自分は彼女を支えるが、彼女の上級統治者である地位は変わらない。あくまでもここに戻ってきたのは王国の跡継ぎがここで生まれないとならないというしきたりのため、そして二つの流儀を混ぜ合わせてよいものを作りあげるためだと話します。そして将軍を目指す戦いへの参戦は禁じられていないため復帰を目指す、サイマスも将軍を目指すし、ジョディンはシンガーを目指すだろう。他の将軍も協力を申し出てくれているものもいる。長老会は再編成されるだろうが・・・エロイスが「戦の王になられるのですね」というと、そうだが戦士僧侶のこともあり、でもこれはまた別の話だ。契約を解除するものにはたっぷり荷物を持たせて帰還させるが、残るものにも報いが多くなるようにしたい。重大な決断だから、各自ゆっくり考えてくれと伝えます。

ケルは本屋のレムにいって、古い地図を戦士たちのところに持ってこさせ、披露していました。

ダースト卿のところにはヒースを襲った男が戻ってきていて、治療をしてもらっています。治療師に治療してもらえば事情がばれるため、僧侶が手当しています。ダースト卿にはヒースへのくだらない私怨で動けば壮大な計画が駄目になる、どこか遠くで身を潜めていろと指示されますが、自分には疑われる理由はないと抗弁し、さらにはあなたの動機に私怨がないと言えるのかと言いかえしていました。

ヒースとアティラが練習用の剣で手合わせをしていると、先日の使者でもあったケルファーがアティラに手合わせを申し込みます。ケルファーは自信満々でしたが、アティラは数合打ち合ったあとに電撃のように剣を繰り出し、相手を組み伏せ、刃を相手の首にあてて一本取ってしまいます。もう一本!と食い下がる男に、残念だけど今の段階ではあなたの実力では十分ではない。練習に付き合ってくれてありがとうといって手を差し出し、バンと男のおしりをたたきます。静かに激怒した相手のまなざしにアティラは「戦いの後お互いの健闘をたたえてたたき合うんじゃなかったかしら?」と問いかけると、たたき合うのは背中だ、と言われます。相手は取り巻きと一緒に去っていきますが、アティラは触ったときに固く巻かれた包帯の感触を衣類の下に感じ取っていて、相手がヒースを襲ってきた人物だと確信を持ってヒースにもそれを伝えました。

ダースト卿側の貴族が、跡継ぎに関する文書の文言の変更を申し出た理由はなんだろうと考えていたヒースですが、突如ひらめきました。急いで父のアサーの書斎にいって不安を告げると、アサーも気づいていたようです。

ララとキアは教会の認める正式な婚姻を経ていません。ましてや王族の婚姻は祭司長が王座の間で執り行われることという決まりがあるようです。ダースト卿は私生児として生まれる赤ん坊には継承の資格がないということを言い立てるつもりなのではないかということなのです。

ダースト卿の差し金で仮病を装って教会に閉じこもっている祭司長については、治療師長のエルンがプレインズの戦士をお供につれアサーの使いとしてじきじきに足を運び、そんなに具合が悪いのであれば治療しなくては、血を抜いてもいいかもしれないと脅し、戦士たちの圧力もあり、宮廷に伺候するよう強制していました。

ララ自身にはアサーが疑惑を耳打ちしたようなのですが、この件については黙っていてと指示されて、何もできなかったようです。一緒に話を聞いていたアティラは、正式な結婚でないと跡継ぎになれないという慣習が理解しにくいようでしたが、すぐに将軍に事情を知らせて、対応しなくてはと言います。

ケルはアサーや戦士たちと教会にいって若い司祭Iainアイアイン(イアイン?)に結婚という制度について話を聞きます。

みんなで話し合っていた部屋にララが入ってきました。最初混乱している様子でしたが、誰が話したの?というとアティラが私の判断で将軍にお話ししました、と言います。私たちの絆は誰に証明する必要もないものなのにとララは涙をこぼし始めます。ケルはララに歩み寄ると優しくだきしめ、君はプレインズのやり方で絆を示してくれた、と耳に通された金の飾りに触れます。だから同じように君の国のやり方で絆を占めさせてくれないか、と。二人はキスを交わし、ケルへの熱い気持ちが伝わってくるララのまなざしにアティラは羨みを感じて目をそらしました。そしてヒースから向けられる視線も感じています。

アイアインが必要であれば、今夜にも婚礼を執り行うけれど、自分は祭司長への忠誠を誓った身でもあるので、圧力があれば難しいと言います。そこにアンナがやってきて、ララが結婚するのにこそこそとあげる必要はない、明日の大宴会で貴族がみんな揃った中で、堂々と執り行うべきですよ!と大反対します。

結婚式では、私の両親と同じだったあなたたちが、親の席に立っていてねとララがアンナとアサーに頼み、二人は涙ぐみ、了承します。また他の護衛や側近たちにもララとケルの付き添いをそれぞれ頼みますが、マーカスだけは、祝い事に不吉を持ち込んではいけないからと尻込みするものの、式典に影ながら同席することは了承します。

大宴会ではごちそうが並び、貴族たちが居並ぶ中、キアとララが入場します。また祭司長もアサーに連れられてしぶしぶ参加していますが、自分たちの法律では未婚のまま子供を妊娠している状態のララを祝福しようとしなかったため、空気が凍り付きます。ララは自分はプレインズの流儀で結婚しているし、それはザイの婚姻と同じだと言い怒りますが、キアが君がプレインズの婚姻の絆を尊重してくれるなら、自分もザイの流儀で婚姻をしようと言い、アサーとアンナの立ち合いのもとプロポーズをし、その場はおさまります。

食事が始まると、鹿の将軍が現れます。ウォープライズのもたらす新しい流儀でプレインズをよりよくしようと考えるキアを軍事的にサポートし、周囲へも自分の立場を表明するため、そしてマーカスを取り戻すためしばらくの間ザイに滞在することになっているようです。

将軍をみたとたん、マーカスは反応し、将軍もマーカスに戻ってきてほしいと頼みますが、マーカスは耳と共に我らの絆もなくなったと拒絶し、給仕に戻ってしまいます。二人の深い絆に気が付いたのは、いまのところアサーだけのようですが、男性同士の関係がザイでどのように受け止められるのか、またプレインズの戦士アティラと恋に落ちたように見える息子のことも憂慮しています。アティラはよい娘に思えるものの、建物の中での生活に適応するのに苦労している他のプレインズの戦士と変わらないように思えたからです。見守ることにしようと考えています。

将軍が自室に下がる際、ヒースが一行を部屋へと案内します。あの頑固者め! こうなったら昔の流儀でやるしかない、と話す将軍に、どういう流儀ですかと聞くと、どうやら意中の人物を誘拐する風習があるようです。

一度しか関係を持たないと決めていたはずなのに、アティラに誘われると断れないヒース。アティラ自身も口にはしないものの、以前にいたたくさんの恋人たちとは違うものをヒースに感じているようです。その晩二人はヒースの部屋で熱い時間を過ごします。

ララは自室でキアや護衛たち、そしてエルンといます。エルンに歩きなさい、と言われているものの、わかってます! 自分が患者に言ってきたことだし、これは報いなのかしら? と動くことを渋っていますがキアに立ち上がるよう促されていました。そこにアサーがザイソン王の剣を持って入ってきました。刃は透明のクリスタル、持ち手は青銅で、貴重な品のようです。キアが興味を持ち、さやから出して振らせてもらっていました。この剣は統治者が裁判を行う際の王権の権威の象徴のようで、これからララが裁判を行うために持ち込まれたようです。

アンナは勝手に結婚式の準備が進むわけじゃないんですから、準備の時間をとてくださらないと!と言って、ララに結婚式用の衣装を見せにきます。普通だったら母親のウェディングドレスをまとうのが伝統だけれど、せっかくの結婚式なのにこんなに大きなお腹で、私の入るサイズのドレスなんてない、と涙ぐむララにキアが君は会場のなかで一番美しい人だ、わが心の炎よと慰めます。宮廷の女性たちの意見なんて今まで気にしたことなかったではないですか、とアンナもいい、王家で受け継がれてきていた豪華な刺繍のはいったマントを広げます。ララはそれぞれの柄に意味のある刺繍をみて、そのマントをまとい式にいどむことにします。

大広間では貴族たちが裁判を控えて待機していました。アサーに先導され、キアとララ、そして護衛達が入場し、訴えた側で結婚式を主催していた花婿の父でザイ人の貴族と花婿、そして花嫁の父の職人の長がまずその場に召喚されます。自分たちが取引をより固めるために自分の息子と娘を結婚させることにし、契約も成立しているのに、結婚式当日に邪魔が入り、花嫁をさらわれてしまったため儀式が終了できない。花嫁を返して欲しいと訴えます。一方の花嫁を保護したファイヤーランダーの女性は、結婚式の行列を遠目に眺めていたところ、花嫁が結婚したくない!と言って私の足元にすがりついてきた。絆を子供に強制するのはありえないことなので、その場から連れ出したと証言します。花嫁本人もララの前に出てきて、「彼と結婚なんかしたくない! だって彼はイジワルなんですもん! それに私は親と一緒に暮らしていたいし、家を切り盛りするより家の外で遊んだり、動物と過ごしたい」と証言します。父親は、おまえにとって、こんなにいい話はめったにない。結婚すればお前は立派なお屋敷が持てるし、使用人もいる、ぜいたくな暮らしができるんだぞと言いますが、本人は納得しません。

ララは商売上の取引を結婚で強化するやり方はザイの古来からのしきたりであるので、今回のように親同士の約束が成立している以上、契約は実行されなくてはならない。ただし今後は本人の意思も確認する必要があるだろう。本件に関しては、花嫁は女王付きの侍女としての任務を宮廷で命じることにし、結婚自体は機が熟したと判断されたときに実施されるものとする。そして結婚式の花婿側の貴族と花嫁側の家には、いまは貿易ルートのない地域に、今後大使を派遣し、交易路を開こうと思っている。ファイヤーランダーたちに護衛してもらうことで道中の安全は確保されるので、その仕事に取り組むようにと命じます。大きな利益が見込める話に、しぶしぶとはいえ納得し、閉廷となりました。新しい交易の話はたちまちその場にいた貴族を通じて国全体に広がりそうです。

ダースト卿のところに花婿側の貴族がやってきて、もうあなたの主旨には賛同できないと申し出ます。あなたも復習を忘れ平和に暮らしたらどうだと言われますが、ダースト卿は受け入れません。息子の仇、そして血脈を汚すと考えているララとキア、そしてヒースをアサーの目の前で殺させるつもりのようです。

ララは部屋から退室する折りに、ヒースをこっそり呼び、旅先から依頼した指輪を取ってきてほしいと頼みます。ヒースはアティラと行ってきます、と引き受けます。

馬で連れだって街に繰り出したヒースとアティラ。ララの結婚式のお祝いで屋台や露店が多数たち、たくさんの市民が集まり、にぎわっています。チーズ作りのカリサにヒースが挨拶をすると、目的の職人は店にいると教えてもらいました。

鍛冶職人の兄と金物細工の妹でやっているお店のようで、ヒースが店に入るとイスマリはすぐに店の奥に指輪を取りにいってくれ、品物を出してくれます。金と銀の手が握り合っているデザインの大小の指輪が箱に収められていました。時間があるなら食事をしていったらと誘われ、二人は誘いを受けます。鍛冶場の方では剣を鍛えているようで、徒弟たちが火を起こす作業などをしたり、親方は真っ赤に熱した剣を槌でたたき、水で急冷するなどの作業を行っている様子にアティラは魅了されていました。

食事にしましょう、と声をかけるとあっという間に徒弟たちが部屋を食堂へと模様替えし、皿を並べ、料理を運び、すぐに食事が始まります。ヒースは若いころに伝令の仕事で城の武器などをこちらで修理に運び、持ち帰るなどをやっていて、なじみのある人や場所のようです。

食事を終えると、すぐにまた鍛冶の仕事が再開されましたが、アティラはもの言いたげに親方のそばに寄ります。親方は徒弟の一人を呼び、お前の新しい徒弟だ、面倒をみるようにと言ってくれます。徒弟は鍛冶場にあるすべてのものは熱いので、革のエプロンをすること、すべてのものは熱いと心得ておくことなどを教えてくれて、早速くぎを炭火で熱して作るやり方を見せてくれます。アティラな真剣に聞き入り、注意深くやり方を観察し、何本か作ってもらったあとで、自分がやってみることにします。

一生懸命取り組むアティラを、ヒースは嬉しそうに眺めています。彼女はあなたの昔付き合った女性たちとは違うわねと言われていました。

くぎが完成して嬉しそうなアティラ。仕事を教えてくれた徒弟が、ぜひ見てくださいといってチェーンをつないだ女性向けの鎖帷子を出してきてくれ、アティラは気に入ったようです。

二人は城に戻ると、結婚式の準備にキリキリしているアンナに呼びつけられ、身ぎれいにするようにと言われます。

結婚式が王座の間で始まります。まずは証人となる人々が会場にいる中にきらびやかな衣装の大僧正が登場し、護衛達が配置につき、花婿のケル、そして花嫁の親代わりのアサーとアンナ、そしてララが入場します。

式は粛々と進行しますが、花婿、花嫁がそれぞれ誓いの言葉を述べ、この結婚に意義はありませんかという大僧正の質問にアサーとアンナが意義はありませんというと、会場にいたダースト卿から「意義あり!」といわれ、会場に緊張が走ります。

ダースト卿とその一派は、こんな結婚は認められない、あいつらにやられたことを忘れたのかと言いますが、キアは以前の失敗を踏まえ、今回は話し合おうという姿勢をみせ、ララは過去ではなく未来を生きましょうと言います。ダーストは金で衛兵を抱き込み、傭兵も雇ってキアの暗殺とララの確保、そして跡継ぎ出産後には彼女の殺害を計画していたようでしたが、会場の内外に配置していたはずの兵士に命令しても、兵士たちは反応しません。ヒースがデトロスと協力して、金遣いが粗いなど怪しい兵士は密かに入れ替えたり、現場から遠ざけるなどして、ダースト卿とその一派が結婚式に計画していた武力制圧は難しくなりました。

当初はダーストに共鳴していた貴族も、ララの貿易路の復活や公平な裁判の判断を経て、ダースト卿に女王は悪いようになさらないだろうから恭順するようにと説得しますが聞き入れません。緊張が高まるなか、アサーが武器をもたずダースト卿を説得しようと近づき、声をかけますが、ダースト卿はアサーの胸を剣で突き刺します。乱闘が発生し、ダースト卿がさらに振りかぶったザイソン王のクリスタルの剣をキアが粉々にしたため、その場を逃げ出します。

キアにその場を任せ、ヒースとアティラはダースト卿を追いかけていきます。ヒースは生きたままダースト卿を捕らえ、追いかけてきた衛兵たちに指示して縛り上げ、女王の前へ連れて行かせます。会場に戻ってみると、アサーはララやキア、アンナに見守られていました。ララが小さく頭を振ってきます。アサーはララとヒース、アンナに愛していると伝え、キアに彼らのその後を頼みキアも彼らを見守ることを誓い、アサーは亡くなりました。このどさくさで大僧正が殺されてしまい、死ぬ前にアイアインという若い僧侶が大僧正の座を任命していきます。

ララは引っ立てられてきたダースト卿を国賊として断罪し、ヒースに処刑を命じます。ヒースも一旦は引き受けますが、デトロスが首を斬るのは難しいから斧を持ってこないとと助言し、ヒースは罪人であっても余分に苦しませるのはよくないので、処刑人をとララに申し出、ララは了解します。

すぐにその場に首を載せるための石と、顔を隠した処刑人二人が現れます。ダースト卿は自分で頭をのせ、一瞬で頭は切り落とされました。

ヒースが気が付くとアティラがそばにいません。キアが護衛にも手伝わそうかと言いますが、女王の護衛のほうが重要だからとひとりで探しに行きます。

アティラは会場から逃げ出していたダースト卿の手下ランファーを追いかけ、塔の上の階に追いつめていました。結婚式参列のため、ララのためにザイ風に装ったアティラは長いスカートで動きが制限されていて、相手を追いつめていた油断から、肩を刀の柄で強く殴られ、肩の骨を折られてしまったようです。その後馬乗りになられ、服を破られ、身体をまさぐられますが、相手を侮辱し、反撃をやめません。強く頭を打ち付けられ、意識を失いそうになりつつ、抵抗していると、ヒースがやってきました。

ヒースは逃げ出そうとするランファーと斬りあいになりましたが、ダースト卿が処刑されたことを伝え、最後には息の根を止めることができました。ララが出産の態勢になり、部屋を封印する前に出産の証人として控えの間に来るようにという伝言を部下が持ってきたため、アティラをいたわりながらララの部屋へ向かいます。

控えの間に入ると、大僧正のアイアインが彼らの怪我を心配して、部屋を封印する前に治療したほうがよいのではと言いますが、構わないでくれ、大丈夫だと言って、封印してもらいます。

隣のララの部屋ではキアがララに付き添っていることにアンナは渋い顔ですが、子供を作るときに自分はいたのだから、この時にいて悪いはずがないと言ってアンナを赤面させます。エルンがララの状況を見守っているので、ヒースはアティラをララの部屋へ連れていき、エルンに診てもらうことにします。

アティラは強い麻酔作用のある薬湯を飲まされ、どうやら脱臼していた肩をはめ直してもらい、ひとまず部屋のなかのベンチでララの出産を見守ることになったアティラ。自分の出産のことを思いだします。

ララは男女の双子を無事出産し、みんな幸せいっぱいですが、ベンチに座っていたアティラと、アティラの様子に気が付いた幼子だけが心の痛みを思い出し暗い顔です。侍女たちは汚れた衣類などを処理しにでかけ、アンナはララに少し目を閉じて休むようにと言いつけて、キアと赤ちゃんたちを控えの間に披露しにいきます。

アティラが気が付くと、部屋の入口は内側からバリケードがされて、横になっているララに近づいていく介助の白い服装の女性が「息子のかたき!」と枕を顔に押し当てていました。朦朧としながら、ララを守るアティラ。今の状態では相手を生かしておいたら守り切れない、と短剣で刺し殺します。その女性はダースト卿の妻でした。

エルンはララは落ち着いていて看護の手もあるからと言って、ヒースと一緒にアティラに付き添い、ヒースの部屋まできて、意識のないアティラの衣類を脱がせて全身の傷の手当をしてくれます。麻酔効果のある薬湯で意識で失っていて反応のないアティラに不安を覚えるヒース。診察を終えて二人以外が部屋からいなくなると、鍵を閉めて、休むことにします。

翌朝目覚めたヒースは父の遺体が安置されている部屋へ行くと、衛兵が護衛していて、中にアンナがいると教えてくれました。いつかこんな日が来るとおもっていたけれど、こんな形になるとはと涙を流しています。ヒースがあの時自分が介入していたら・・・と後悔を口にすると、それは違うと言います。彼は国への献身を一番に考えていたのだから、彼の考えを通したでしょうと。

彼ら夫婦の馴れ初めは台所だったという話がでて、アンナの母は貴族の次男の次男で、手に職もなかったアサーとの結婚に反対していて、結婚後もアサーに何かと辛く当たっていたけれど、自分はアンナを得られて幸せなのだからとアサーは受け流していたようです。だからアティラとの仲を反対した自分は間違っていたと。ただアサーはあなたのことを跡継ぎとして教育してきたし、切迫する状況から評議員の欠員の状態が続くのは好ましくないはず。おそらく女王は家宰としてあなたを任命することになるでしょう。その時どうするの? ヒースは言われたことを考えてその職に就くことを決め、おそらくザイに馴染むことはないだろうアティラとは別れようと考えます。

部屋に戻るとアティラは目覚めていますが、よくなるまではこの部屋を使ってくれと言い置いて、ヒースは自分の仕事にとりかかることにします。

格式高いアサーの葬儀が行われた後、ララはキアや双子たち、アンナやメアラ、護衛達といっしょに庭でお茶を楽しんでいます。そこでララから遠慮がちに家宰の仕事を打診され、引き受けます。ララはほっとしていました。ヒースは護衛隊長にデトリスをつけたいと提案し、ケルに了承されていました。そこにライアン将軍が現れ、ここでは自分は必要とされていないようだから、平原との国境に移動しようと思うと言います。マーカスは彼の姿を認めるとその場を去ろうと背中を向けますが、将軍はお前は臆病者だと言い放ちます。マーカスは自分たちの絆は燃え尽きた、自分と関りを持ってほしくないと言って言い合いになりますが、最後にはいなくなってしまいます。ライアンは自分は諦めないぞと言い、騒がせたことを詫び、希望するなら自分に仕えてほしいとアティラに言って、その場を去ります。

他のものがその場を去っていったあと、キアからライアンのもとに行きたいなら許可を与えるとアティラに言ってくれます。ヒースから距離を取られていることに薄々気が付いているアティラ。キアが今回の将軍争いに参入しないにしても、来年は将軍の地位を取り戻しに行くなら大切な家族とも離れることになります。「なぜララと絆を結んだのですか?」と口に出してしまいます。すぐ後にトークンを持っていなかったことに気が付きますが、キアは自分たちはもうそんなことは越えた間柄だろうと言って話し始めます。

それはつまり、どうして街住みと絆を結ぶことができたのかということが知りたいんだろう? 最初は彼女をウォープライズとして獲得したいという単なる目標だった。サイマスを救出しに潜入した時に彼を看護してくれていた彼女は、私の心の琴線に触れたのだ。だから私は彼女を獲得し、キャンプに連れていった。私たちの間にザイモンの嘘があってさえも、彼女は私が思いもつかなかった方法で、自身で私の心を包み込んでくれたのだ。

彼女が国のために奴隷として自分を犠牲にしてやってきてくれた。ウォープライズの真の意味を理解したときに、彼女自身を捧げてくれた。彼女自身を自由にしたときに、彼女は私に真実に目を向けさせた。約束や誓約、絆でさえも風のようなものだ。それらは単なる言葉や仕草を越えたものだ。剣の訓練のような絶え間ない努力でなくてはならない。うまく言葉にできないが・・・。

パターンダンスのように? ビートが力強く、あなたと相手が一つになってダンスすれば、相手と考えを共有し、それに・・・ そうだ、ダンスを共有することができる。キアはアティラの言葉を受けてそういいます。でも、それだけではないのだ。ララは、誰もできないようなもので私を完全なものにしてくれる。愛だよ。もう私の人生は彼女のものだ。彼女がそばにいてくれると、彼女がいなければ想像もつかなかった可能性をみることができる。彼女なしでいることは考えることもできない。一人では、もう私は何者でもない。でも彼女がいてくれたら、私は限界を知らない。

キアの腕の中の赤ん坊が目を覚まし、キアはララのもとに戻ることにしますが、最後に彼女に忠告します。これが簡単なことだとは思わないで欲しい。我々の間には相当なしきたりの違いがあると。アティラは「平原での生活は厳しいものです。同様にここでの生活も。引き続き、考えたいと思います」と答えます。

ヒースとアティラが一緒にやっていくことはできるのだろうか? アティラは以前ヒースと出かけた鍛冶屋&金物細工のお店に出掛けました。お店に着くと、鍛冶屋のダンスタンが出迎えてくれます。前回くぎの作り方を教えてくれたガースを呼んで、鎧を着ないで戦いに行くとどうなるのか見てほしいと頼みます。また細工職人のイスマイにお金を持っていないんだけれど、相談があるの。というと、まずは話してみてと言われ、カバンから自分で作った釘を取り出します。

アティラの予想より長い時間がかかってしまい、暗くなってしまったのでダンスタンが送っていこうと申し出てくれます。道を歩いていると顔見知りの衛兵を見かけたので声をかけると、非番のものも含めて衛兵は全員が駆り出されてアティラを探していたとのこと。

怪我のためアティラは素早く動けないので、衛兵は自分たちが付き添ってヒースのところへ連れていくということ、そして他のメンバーに彼女が見つかったという合図を送り、伝令を呼びよせて城に一足先に報告させます。

アティラが城に戻ると庭でヒースが待ち構えていました。何を考えているんだ! 姿が見えなくなって怪我で武器が振るえないのに反逆者に攻撃されたんではないか、さよならも言わないで平原へ帰ってしまったのかと心配したんだぞと雷を落とします。アティラは素直に謝ります。そしてここに集まっている衛兵たちはあなたの家族のような存在よね?とヒースに確認するので、戸惑いつつそうだと答えると、突然アティラは片膝をつきます。

気絶したのかと思い、ヒースは慌てて彼女を支えようとしますが、彼女はザイの家宰のヒース、私と結婚してください。とプロポーズします。君はここにいたくないんではなかったのか、と戸惑うヒース。私は自分がわかってる。だからこれをあげる。彼女の手には釘で作られた指輪が載っていました。私自身にもひとつ。君はずっと俺のことを拒絶していたじゃないかと言われますが、アティラは場所よりも彼のほうが大事だと気が付いたようです。

数日後、アティラとヒースの結婚式が城で行われます。ララやキア、アンナ、子供たち、城のスタッフやファイヤーランダーやダンスタン、イスマルも会場にいて、みんなが誓いの言葉に立ち会いました。結婚式が終わると、外から馬の怯えた悲鳴が聞こえてきました。今晩は近場へ二人で馬で出かけることになっているのですが、門のところに準備されていたアティラの馬に翼のついた獣が取りついています。参加者のなかでもララや子供たちなどはすぐに城の中へ避難させ、現場には兵士と戦士が残りました。馬は抵抗していますが、獣は執拗に攻撃し、馬の首を狙っています。矢を射かけろ! とヒースが号令し、兵士や戦士たちが攻撃しますが、あまりダメージを与えられないようです。長い槍を持ってこい! とヒースが命じますが、槍は倉庫にあり、時間がかかりそうです。アティラは自分の馬に槍を用意してありました。いまは獣にのしかかられている馬の下から槍がのぞいています。獣は尻尾を使って攻撃してくるため、尻尾を盾で防御しながら、馬に近づき、槍を掴むとヒースに投げました。ヒースは獣に近づいていくアティラをみて心配でたまりませんでしたが、槍を即座に獣に打ち込み、殺すことができました。死んだかどうか、兵士たちが警戒しながら近づいていきますが、アティラが見当たりません。まさか! ヒースは駆け寄りますが、アティラは獣の下敷きになりつつ、盾で防御し身体を縮めていて無事でした。これが絆の始まりの日なら、これから何が起こるのか知るのが待ちきれないわ!と嬉しそうなアティラにヒースも笑いをこらえきれませんでした(終)

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